官報利用者の声

天皇陛下のご公務と官報 昭和館 館長 前宮内庁長官 羽毛田 信吾

永い公務員生活の中で、私は「官報」に関連深い部署で勤務することが比較的多かったような気がします。法令所管省庁の立場で、あるいは、法令とりまとめの内閣官房の立場で、さらには、天皇陛下の御活動をお世話する宮内庁の立場で、「官報」とのご縁は、途切れることなく続きました。いろいろな局面で味わった喜びや苦しみとともに「官報」の存在を今更のように思い出します。苦労の末に成立した法律を「官報」で確かめた時の達成感、年度内公布を要する法令の「官報」登載が何とか間に合った時の安堵感など、「官報」にまつわる思い出は少なくありません。それぞれの場面で、地味な刊行物でありながら欠かせぬ役割を演じてきたのが「官報」でした。

とくに、宮内庁在勤時には、天皇陛下の御公務に関連して「官報」を再認識することとなりました。天皇陛下は、内閣の助言と承認により、国民のために日本国憲法の定める国事行為を行われますが、その一つに、「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」(憲法第7条)があります。国会で可決された後に内閣を経由して奏上される法律・条約や、閣議で決定され内閣から奏上される政令は、天皇陛下の御裁可を仰ぎ、御署名と御押印を頂いた後、「官報」に掲載されます。それによって、正式に効力を有するものとして広く国民がその内容を知ることになります。

閣議後にお手元に届けられる資料は、法律などの公布案件を含め年間1千件を超します。天皇陛下は、これらの資料を1件ずつ丹念にお読みになり、内容を把握されたうえで御署名なさいます。

また、天皇皇后両陛下の行幸啓先や天皇陛下が発せられる御祝電などは「官報」の皇室事項欄に日々掲載され、国民に伝えられます。公布された法律、政令、条約あるいは皇室事項欄の記載を「官報」上でご覧になれば天皇陛下のお忙しい御公務の一端を知っていただけると思います。

私自身、身近な存在でありながら日頃は取り立てて「官報」を意識することなく過ごしてきましたが、改めて考えてみますと、「官報」は、国の重要な活動の公式な伝達手段として国民に開かれた大きな窓のように思えます。迅速的確な情報を多くの人々に伝えることの重要性があらゆる分野で叫ばれている今、その基本を担う「官報」は一層大きな役割を果たすことになるのではないでしょうか。

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