『武陽王子飛鳥山真景』

更新日:2024年1月19日

各収蔵品の解説をご紹介します。

明治期の王子の様子を伝える 『武陽王子飛鳥山真景(ぶようおうじあすかやましんけい)』

本作品は、明治21(1888)年に当時の東京・王子の光景を描いた日本画で、作者の鉄斉菅真郷の経歴は不詳ですが、遠近法を活用して地域の様子が綿密に描写されています。王子は、明治8(1875)年に抄紙(しょうし)会社(現・王子製紙)の工場、翌年に紙幣寮抄紙部の工場(現・国立印刷局王子工場)が操業を開始し、日本の近代製紙産業が発祥した地であり、本作品の中央には、煙突から煙が上がるこれらの工場が見えます。その他、王子駅舎(明治16年開通)、石神井川、飛鳥山の渋沢栄一別邸、「王子の狐」の伝承のある大エノキなど、当時の要所が確認できます。
創設当初の抄紙部の全体像や周辺の様子を伝える史料は少なく、本作品はその貴重な手掛かりとなるものです。


収蔵品画像


作者鉄斉菅真郷
発行年明治21(1888)年
技法絹本着色
寸法H546×W1114 mm

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