歌舞伎座の新開場1周年を記念して、国立印刷局から凹版画を寄贈しました。

明治22年に銀座木挽町に誕生した歌舞伎座は、度重なる建て替えを行い、2013年4月2日に新開場を果たしました。
その一周年を記念して、このたび国立印刷局は、新装した歌舞伎座の建物を題材とした凹版画を制作し、株式会社歌舞伎座へ寄贈しました。 

歌舞伎座の外観と、凹版画

この凹版画は、お札(日本銀行券)に用いているのと同じ技法で、国立印刷局の工芸官が技術練磨を目的に作成したものです。
 
凹版画は、ビュランという特殊な形状の刃先をした彫刻刀を用いて、硬い銅版に直接画線や点線を刻み、線画方式によって作り出します。1㎜の幅に10本以上の線が彫刻できるほどの精細な技術が要求される、まさに熟練の職人技です。
凹版画における図柄の表現方法は「線画方式」であり、モチーフの輪郭線や明暗は、すべて点と線の組み合わせにより表現されます。対象物を立体的に表現するためには、点と線の大きさや太さ、間隔等の構成を緻密に計算し、芸術性を要する技法を駆使する必要があります。
 

彫刻風景

版面ができたら、細かく浅く彫刻した線の中にインキを詰めて、水に浸して印刷しやすくした用紙に、非常に強い圧力をかけて印刷します。
印刷された凹版画をルーペで見ると、シャープな画線上にインキが立体的に盛り上がっていて、手で触るとザラザラした手触りがあります。これはオフセット印刷や凸版印刷には見られない特徴で、緻密な表現とともに、お札の偽造防止に役立っています。   

版面と画線
寄贈の様子

125年以上の伝統を受け継ぎながら、現代ならではの技術の粋を集め、新しく生まれ変わった歌舞伎座。白壁と影の美しいコントラストによって、存在感が引き立つこの建物は、凹版画のモチーフとしてもたいへん魅力的です。

この凹版画は、歌舞伎座2階のロビーに展示されています。ぜひご覧ください。

 

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