特殊切手「日本の建築シリーズ 第1集」は、国立印刷局の「グラビア凹版印刷」です。

12年ぶりとなる「グラビア凹版印刷」による特殊切手

日本の代表的な建築物を題材としたシリーズの第1集として、特殊切手「日本の建築シリーズ第1集」が、2016 (平成28)年1月8日に日本郵便株式会社から発行されます。

この切手は、特殊切手では「平成16年文化人郵便切手(2004 (平成16)年11月4日発行)」以来12年ぶりとなる、国立印刷局独自の「グラビア凹版印刷」という手法で製造される特殊切手です。

「平等院鳳凰堂」「旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)」
日本の建築シリーズ第1集

「平等院鳳凰堂」及び「旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)」をモチーフに、グラビア5色・凹版1色で印刷されています。

グラビア印刷が得意とするなだらかな階調性と、凹版印刷の特徴であるシャープで立体的な画線を組み合わせることによって、重厚感のある図柄が表現されています。凹版部分は、お札(日本銀行券)と同じ彫刻技術により原版を作製しており、一般には使用されていない版式のため、偽造防止にも役立っています。



32年ぶりとなる凹版(単色)による切手帳

この切手の発行を記念して、「切手帳 日本の建築」が日本郵便株式会社から発売されます。

切手帳本体(冊子状の切手ケース)

この切手帳は、切手帳本体(冊子状の切手ケース)、「日本の建築シリーズ第1集」の切手2枚(「平等院鳳凰堂」及び「旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)」各1枚)と、4色の単色シート(各1枚)で構成されています。

単色シートとは、芸術性があり格調高い美術作品として国内外から高い評価を受けている凹版印刷の魅力を最大限に活かすため、4枚の切手シートをそれぞれ異なる凹版単色(黒・茶・青味灰・赤)で表現したものです。「特殊鳥類 小型シート」(1984(昭和59)年12月10日発行)以来32年ぶりとなる、単色の凹版印刷による特殊切手です。

切手帳4色の単色シート
平等院鳳凰堂

「平等院鳳凰堂」単色シート(赤)

基本となる"黒色"の凹版インキのほかに、わが国最初の郵便切手である「竜文切手(48文)」をイメージした"茶色"、明治初頭の最新技術エルヘート凸版を採用した「小判切手(5厘)」をイメージした"青味灰色"、わが国最初の記念切手「明治大婚25年記念郵便切手(2銭)」をイメージした"赤色"の、合計4色の凹版インキで印刷しています。

版面は「日本の建築シリーズ第1集」で実際に使用している凹版版面を使用しています。凹版単色で表現するにあたり、「日本の建築シリーズ第1集」では、グラビア印刷のカラーグラデーションのみで表現していた空や水面などには、凹版版面に追加で画線を彫り込むことで、凹版単色切手ならではの立体感や質感が味わえる切手となっています。

詳細は、日本郵便株式会社ホームページをご覧ください。

国立印刷局の「グラビア凹版印刷」

「グラビア凹版印刷」は、グラビア印刷と凹版印刷を同時に行うコンビネーション印刷であり、国内では国立印刷局のみが手掛けている技術です。



凹版印刷とは

彫刻風景

凹版印刷とは、凹んだ画線部にインキを詰め、直接紙に転写する印刷方式です。印刷物をルーペで見ると、シャープな画線上にインキが立体的に盛り上がっていて、手で触るとザラザラした手触りがあります。お札(日本銀行券)の偽造防止技術としても使用されている技術です。

凹版印刷における図柄は、モチーフの輪郭線や明暗の全てが点や線の組み合わせにより表現されており、微細な線と点で立体感や質感が表現され、鮮鋭かつ重厚な印刷が得られます。

凹版画については、こちらのページでもご紹介しています。

画線

今回発売される切手帳は、凹版印刷のなかでも直刻凹版といって、彫刻者の手により、鋼版にビュランと呼ばれる特殊な彫刻刀を使用して、画線部を形成する方法により製作しました。画線部は1ミリメートルの幅に10本以上の線が彫刻できるほどの繊細な技術が要求される、まさに熟練の職人技が生かされています。

版面の作製だけでなく、製版や印刷にも特殊な方法を用いるため、複製は困難であり、偽造抵抗力が高いことも特長です。お札では、この偽造防止効果をより強く求めていますが、切手における直刻凹版は、より美しく再現するための表現、芸術性を強く求めています。


グラビア印刷とは

印刷面の拡大図

印刷面の拡大図
上:オフセット印刷(丸いアミ点)
下:グラビア印刷(ひし形のセル)

グラデーションを美しく表現することに長けているのが、「グラビア印刷」という印刷方式です。

オフセット印刷は、網点の集合体である平たい版面にインキを乗せて印刷するのに対し、 グラビア印刷は、版面に掘られた「セル」と呼ばれる極小のひし形のくぼみにインキを詰め、版面に付いた余分なインキをかき落とし、圧胴に挟んで紙に転写させて印刷します。このため、インキのかすかな盛りや厚みができます。

セルの大きさと深さでインキの量をコントロールするため、グラビア印刷は、写真や絵画のような細かい階調や濃度の差、質感まで美しく表現することができます。


グラビア印刷については、こちらのページでもご紹介しています。

切手の製造工程

国立印刷局では、画像処理装置による電子製版を行い、グラビア自動彫刻機による効率的で精密な版面を作製します。
印刷と同時に目打ち穴の穿孔(せんこう)が入り、シートサイズに断裁後、切手自動仕上げシステムによって封包し、納品形態に仕上げます。

切手の製造工程
グラビア印刷機

手彫りの凹版切手は、その品格と偽造の困難さから、かつては切手の中でも中心的な存在でした。

今日ではオフセット印刷などの製造しやすい切手に比べ、製造数が減っているものの、郵趣家には根強い人気のある切手です。


特殊切手「日本の建築シリーズ第1集」と「切手帳 日本の建築」は、国立印刷局の技術が詰まった切手です。グラビア凹版切手の美しさを、ぜひお手にとってご覧ください。

(ご意見、お問合せ先)
独立行政法人国立印刷局 広報官室
電話番号:03-3587-4210、4211

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