令和6年度特集展お札の模様
流線が描くArt
工芸官作品展

お札の模様とは?

まずはお札をじっくりご覧ください。

肖像や額面の数字といった主要な図柄ではなく、その背景や周囲に注目すると、色とりどりの複雑な幾何学模様や細かな画線の連続模様などが見えてきます。

これらは「彩紋(さいもん)」「地紋(じもん)」と呼ばれる独特の模様で、お札に欠かせないデザインとなっています。

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彩紋( さいもん

お札の表裏のさまざまな部分に見える複雑な幾何学模様は、「彩紋(さいもん)」と呼ばれています。

彩紋は、専用の「彩紋彫刻機」を使い、歯車の組み合わせによって編み出す幾何学模様のパターンです。大小さまざまな歯車の組み合わせを変えることで、無限に模様を作製することができます。

1990年代後半からは、彫刻機に代わってコンピュータが用いられるようになりましたが、彩紋の作り手は、以前と変わらず三角関数等の数学的知識をはじめ、創造力、デザイン力を駆使してその作製にあたっています。

彩紋は、150年前から日本のお札に採用されてきた由緒ある模様です。独特の複雑で滑らかな曲線は、正確に再現することが難しいため、偽造防止効果のあるデザインとしてお札に採用されてきました。また、重厚感ある装飾模様として、「お札らしさ」を表す重要なデザインとなっています。

彩紋は、お札以外の諸証券類にも採用されています。

彩紋彫刻機
彩紋彫刻機
歯車
歯車
彫刻針で銅板に彫刻する様子
彫刻針で銅板に彫刻する様子
コンピュータを使った彩紋デザインの様子
コンピュータを使った彩紋デザインの様子
工芸官が作製した彩紋デザインの一部
工芸官が作製した彩紋デザインの一部

地紋( じもん

「地紋(じもん)」とは、背景に描かれる細かい線や連続模様を指します。

地紋は、肖像などの主要な図柄を引き立たせ、偽造を防ぐために、入り組んだ曲線や、複雑で微細な模様によって構成されています。また、再現の難しい淡い中間色で印刷されることが多く、さらに模様の途中で色が重なったり変化したりすることでより複雑化し、偽造防止効果を高めています。

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現在のお札の額面数字の地紋(部分拡大)現在の1万円、5000円、1000円の文字は、それぞれ異なる微細な地紋で構成されているのが分かる。それぞれの背景に見える淡色の細かな模様にも注目。
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現在のお札の裏面の地紋(部分拡大)現在の1万円、5000円、1000円の背景には、さまざまな形状の細かな地紋が採用されている。
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現在の5000円、1000円の表面の地紋(部分拡大)
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現在の5000円の模様(裏、部分拡大)

模様のいろいろ

歴代のお札や証券類に描かれてきたさまざまな彩紋、地紋をご紹介します。

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初期のお札国立銀行紙幣(新券)1円 明治10(1877)年印刷局が初めて製造した近代的なお札。細かな地紋や彩紋が採用されている。
初期の証券地券 明治12(1879)年彩紋の画線の色が反転した「白彩紋」を採用。
印紙に採用された白彩紋登記印紙 50銭 明治21(1888)年
切手に採用された白彩紋菊切手 10銭 明治32(1899)年
大正期の彩紋日本銀行兌換券 甲20円(表裏) 大正6(1917)年複雑に組み合わせた独特の形の彩紋で額面を囲むことで、数字を強調し、書き換えを防止する効果があった。
彩紋を多用したお札日本銀行兌換券 丁5円(表裏) 昭和5(1930)年
多色化した彩紋日本銀行券 C5000円(裏)昭和32(1957)年線の途中で色が変わる当時最新の多色印刷技術で印刷された彩紋。
新たな彩紋日本銀行券 C500円 昭和44(1969)年かごの編み目のような白線で縁取られたカラフルな色の「かごめ彩紋」が採用されている。
日本銀行券 D2000円 平成12(2000)年
より複雑化した彩紋日本銀行券 E1000円 平成16(2004)年彩紋の中に額面数字「1000」のマイクロ文字を組み込んで偽造防止効果を高めている。
彩紋が多用された国債第21回特別給付金国庫債券 100万円(表裏) 平成15(2003)年従来の国債のデザインは、唐草模様を多用することが多いが、本製品は枠模様のすべてを彩紋で構成した斬新なデザインとなっている。
日本の伝統模様を取り入れた旅券の地紋旅券 令和2(2020)年顔写真や氏名等が記載されるページには、伝統模様や扇子など日本文化を取り入れた華やかな地紋が採用されている。

工芸官の作品

彩紋や地紋をデザインしているのは、工芸官と呼ばれる国立印刷局の専門職員です。お札等の証券類のための彩紋を日々編み出すほか、技術練磨や研究などを目的に、彩紋の曲線や精緻な表現を活用した「彩紋画」を作製しています。ここでは、その一部をご紹介します。繊細で美しい流線のArtをぜひ会場でご覧ください。

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「鳳凰」 平成24(2012)年明治9(1876)年からおよそ150年にわたって国立印刷局で受け継がれてきた鳳凰の石像をモチーフにした作品。首の質感や丸まった羽根の風合いなどを彩紋で忠実に表現している。
モチーフとなった鳳凰の石像

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「ツノメガニ」 令和5(2023)年ツノメガニの体表を覆う硬い外皮の質感・感触と彩紋との類似性に発想を得た作品。ツノメガニを構成する多種多様な彩紋と色遣いで迫力ある仕上がりとなっている。

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イベント用看板 令和6(2024)年イベント用に作製した看板の「国立印刷局」の文字部分は、「NATIONAL PRINTING BUREAU 」や桜などの地紋で構成されている。

星座カードを作ろう

自分の誕生日を入力して、オリジナルの彩紋星座カードを作ってみよう!

※好きな背景色を選んでダウンロードしてみましょう。カスタムの枠を選択すると、よりカラフルな色を設定することができます。

※ダウンロードした画像は、壁紙などに設定したり印刷したりすることができます。

※スマートフォンでダウンロードをご利用された場合、画像は「ファイル」に保存されています。機種ごとに異なりますのでご自身でご確認ください。

誕生日

背景色