見どころ解説

特別展示の見どころについて紹介しています。

平成29年度 春の特集展
刻線の美 ―グラビア凹版切手に見る工芸官の技と表現―

1. 工芸官の仕事と技術

 工芸官が、お札や切手の原版を彫刻する際になくてはならないのが、ビュランという専用の彫刻刃です。 ビュランは既製品ではなく、コルク、黒檀、刃などのパーツを組み合わせて、 各工芸官が自分の手になじむようカスタマイズして作っています。
 ここでは、ビュランとそのパーツ、彫刻道具類のほか、工芸官のデッサン、お札の下絵となるコンテ画を展示し、工芸官の仕事について紹介します。

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2. グラビア凹版の名作

第二次国宝シリーズ第8集「東照宮陽明門」


部分

 第二次国宝シリーズ第8集「東照宮陽明門」(昭和53年発行)は、グラビア凹版切手の名作といわれています。 わずか36ミリ×51ミリ四方の小さな空間に、陽明門の絢爛豪華な装飾や金具などが、 彫刻の線により細部までぎっしりと詰め込むように再現され、息をのむような緻密さです。

 細部を拡大して見ると、龍の装飾部分は細かく線を重ねて立体感を出していますが、 柱の部分はあえて彫り込まず、白く抜くことで光を表現し、装飾の重厚感を強調させているのがわかります。

 今展では、複製原版、発行当時の刷りものなど貴重な資料を展示します。神業ともいえる緻密な画線をぜひ、間近でご覧ください。

 また、昨年発行され話題を集めたグラビア凹版切手「日本の建築シリーズ第1集」は、この「東照宮陽明門」の影響を受けたデザインになっています。今回は、この切手の印刷の過程がわかる各単色刷りなどを展示し、色の重なりや力強い凹版画線がご覧いただけます。

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3. 切手に描かれた風景 ―工芸官による習作―

「北海道庁旧本庁舎」(平成27年)


 工芸官は、お札や切手の原版彫刻という本来の業務に従事する傍ら、凹版彫刻の習作を制作しています。数十年に一度といわれる改刷がいつ来ても対応できるように、常に技術を磨いているのです。 習作は、お札や切手よりもサイズは大きくなりますが、その緻密さは変わりません。 さまざまな画線を使い分けて、建築物や風景を巧みに表現しています。

「北海道庁旧本庁舎」を制作した工芸官は、「空気感を大切に、目で線を追って楽しんでいただけるような配線を心がけました」と語っています。お札や切手の画線は肉眼ではなかなか細部まで見られませんが、ここではじっくりと「刻線の美」を目でたどりながら、お楽しみいただければ幸いです。

 このほか、「平等院鳳凰堂」「兼六園」など切手にも数多く描かれている風景画作品を集め、実際に発行された切手と併せてご紹介します。昭和前期に発行された貴重な切手やふるさと切手など、さまざまな切手と作品とのコラボレーションをお楽しみください。

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