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国立印刷局の凹版画が、東京駅開業100周年記念式典の記念品として採用されました。

更新日:2024年2月3日

お札の技術を生かした美術品

お札の肖像部分にも使用されている、伝統的な凹版印刷技術により作製された「凹版画」が、東京駅開業100周年記念式典の記念品として採用され、2014年12月19日、JR東日本東京駅長から、姉妹駅であるオランダのアムステルダム中央駅及びアメリカ合衆国のグランドセントラル駅の関係者へ贈呈されました。
この記念式典は、東京駅が開業から100年を迎えるにあたり、東京ステーションホテルで東日本旅客鉄道株式会社により開催され、大きな話題となりました。

記念品として贈呈された国立印刷局の凹版画

この凹版画は、国立印刷局の「工芸官」と呼ばれる専門職員が、今回のために特別に作製したものです。
100年前の開業当時の東京駅丸の内駅舎と、保存復原された東京駅丸の内駅舎を、対照的な構図でデザインした2枚で一対の作品となっています。

日本が誇る凹版画の職人技

凹版彫刻の様子

凹版画は銅版画の一種で、シャープで繊細な画線をビュランと呼ばれる彫刻刀で銅板に直接彫刻したのち、画線にインキを刷り込んで紙に転写する技法です。
印刷された凹版画をルーペで見ると、シャープな画線上にインキが立体的に盛り上がっていて、手で触るとザラザラした手触りがあります。
これはオフセット印刷や凸版印刷には見られない特徴で、緻密な表現とともに、お札の偽造防止に役立っています。

「さわって」わかるお札の偽造防止技術


デザイン解説_100年前の東京駅

美しいコントラストと奥行きを感じさせるデザインですが、拡大すると、非常に緻密な点と線だけで構成されていることがわかります。
(画像にマウスのカーソルを合わせると、一部分を拡大して見ることができます。)

向かって右側に飾られている作品(Tokyo Station 1914)は、開業当時の東京駅丸の内駅舎の様子です。
開業当時は、南口を乗車専用として利用されていたことから、本作品は、南側からの構図を採用しています。
現在とは違い、周囲は高い建物がなく視界が開けています。道路はもちろんアスファルト舗装でなく、土の道でした。駅に向かい、粋な着物姿で心軽やかに出かける人々の交通手段は、人力車やクラシックなデザインのクルマ。開業当時の、東京駅舎前の冬の情景を表現しています。
凹版画の原版作製にあたっては、対象物の印象を違和感なく伝え、より魅力が増すような画線構成が求められます。空に浮かぶ柔らかな雲は、非常に細かな点の集合体として表現しました。人物たちの着物の柄や、味のある表情にもご注目ください。

デザイン解説_現代の東京駅

向かって左側に飾られている作品(Tokyo Station 2014)は、保存・復原された現代の東京駅丸の内駅舎の様子です。
開業から100年を経て、周囲には商業オフィスビル群がそびえ立っています。駅舎の左右にあるドームを入れつつ、遠近感を出すための風景を探ると、右の作品とは対照的に、北側からの斜体構図となりました。
煉瓦造りの重厚感ある建物の意匠、行き交うタクシーや人々の細かな動きに注目してください。細部にまでこだわった彫刻の表現として、もっとも効果的な画線構成がどのようなものかを検討しながらの作業は、その緻密さ以上に大変な労力を要するものです。

国立印刷局では、印刷や製紙の技術者と、デザイナー及び彫刻担当の工芸官が一体となって総合的な検討を行うことにより、高い品格と機能性を備えた製品の数々を製造しています。
その中でも凹版画は、お札の製造で培った技術が存分に活かされた、格調高いひとつの美術作品として、国内外から高い評価を得ています。

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総務部 総務課 広報係

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