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後編_対談記事「きんゆう女子。国立印刷局へ行く」

更新日:2024年2月8日

今回は、お札・官報・パスポート・切手などを印刷されている「独立行政法人 国立印刷局」を訪問しました。
歴史や業務内容、印刷しているものについてたくさん伺いました。

前編では、国立印刷局の印刷しているものについて伺いました。
後編では、細かい技術や紙幣の未来について質問していきましょう!

前編「国立印刷局の印刷しているもの」

高い印刷技術について知りたいです!

偽造を防止するための技術について聞いてみました。

Q お札を偽造されないための技術(偽造防止技術)は具体的にどういうものでしょう?

A 一つ目には、人の五感により判別できる技術があります。まず手触りですね。お札の表面を撫でてみるとザラザラしていますよね。コピーではツルツルしてしまうため、すぐに違いが分かるかと思います。そして中央の透かし部分は光に透かすと人物の肖像が見え、ホログラムは傾けると色や絵柄が変わりますので、視覚でも識別できるようになっています。

二つ目は、簡単な道具を使って判別する技術です。ルーペで見てみると、コピー機では再現がむずかしい「NIPPONGINKO」の小さい文字が見えます。またUVランプで照らすと、模様の一部が光るようになっています。

三つ目には、自動販売機やATM等の機械により真偽を判別できるようにする技術です。例えば偽造されたお札を自販機に通すと受け付けられずに戻ってくるようになっていますが、こちらの技術は公表していません。

ルーペでチェック!確かにNIPPONGINKOの小さい文字が見える!
ルーペでチェック!確かにNIPPONGINKOの小さい文字が見える!綺麗です。

Q 一つ目、二つ目の技術は、大っぴらにしてしまって大丈夫なんですか?

A はい! 偽造されたお札を見抜くため、ぜひたくさんの方に知っていただきたいことなんです。

Q 偽造パスポートを防止する技術について教えてください。

A パスポートもお札と同様に、偽造を防止する技術が使われています。
2020年にデザインが新しくなりました。冨嶽三十六景を題材にしており、全ページ、デザインが違います。偽造するための手間がかかるため、抑止効果になっています。

Q 技術は印刷局さん内で完結なのでしょうか?

A お札を例に説明すると、国立印刷局ではデザイン、すき入れを施した独特の触感を持つ用紙の製造、印刷(インキ、版面の製造も含む)を行い、日本銀行に納入する形態に仕上げるまでの工程を一貫(完結)して行っています。

Q このような技術は、世界にも誇れると思いますが、海外へこの技術を継承したり機械を輸出したりはしないのですか?

A 偽造防止の観点から、お札などに使用している技術の海外提供や機械の輸出はしていません。特許技術に関して提供できるものはWebサイトで公開しています。

パスポートもすごく綺麗
パスポートもすごく綺麗!新しくなっていたのは知っていたけれど、全部違う柄だったのは気付きませんでした。

技術を支えている工芸官ってどんな人?

お札は毎日のように見ていたのに、ここまで細かく眺めたことはありませんでした!
これだけたくさんの箇所に、偽造を防止するための様々な工夫がされているのですね。
このような工夫を施している「工芸官」さんのお仕事についても教えていただきました。

Q 工芸官さんの仕事って、どういうものですか?

A 工芸官と呼ばれる専門職員は、色鉛筆や絵の具を使って精緻に原画を描いたり、パソコンを使ってデザインしたりする者と、金属板にビュランという特殊な彫刻刀で点や線を1本1本彫刻し、凹版原版を作製する者がいます。

工芸官は、発注者のニーズや世の中のトレンドを踏まえた上で製品のデザインを考え、そこに載せられる偽造防止技術を盛り込んだデザインと凹版などの原版を作製します。

お札の彫刻はとても細かい作業を伴うため、ベテラン(熟練技術者)が担当します。お札はおよそ20年に一度新しくなるため、それ以外の期間はパスポートや、グリーティングカードなどの他の製品や、習作をしながら熟練の技術を身につけていきます。

Q どういう方が採用されるのでしょうか?

A 技術の継承も必要なので、工芸官は継続して採用しています。最近は女性の方の採用も多くなっています。
このような専門的な職種については、印刷局独自の採用基準があり、美術専攻の学生さんを中心に採用しています。

Q 今後、工芸官の仕事が機械にとって変わることはありますか?

A 現在もCGなどを取り入れてデザインしているものもありますが、彫刻などの手作業が全く無くなってしまうことはないでしょう。機械と人の作業を複合的に活用しながら、両方活かして作っていきます。


デジタル化が進んでいる時代なので、ちょっと踏み込んだ質問もしてみましたが、これからも人間による高い技術は欠かせないと感じました。

博物館や工場に気軽に行けるって本当?

お札と切手の博物館(東京都北区王子)についても、伺いました。

博物館は、王子工場の一角にあります。展示室では、お札、切手、証券など、国立印刷局が製造した各種製品だけではなく、明治以降の古いお札や、諸外国のお札や切手、お札の製造と深いかかわりを持つ銅版画など、様々な資料を展示し、お札の歴史、偽造防止技術などについて解説してあるそうです。

Q お土産などグッズの販売はあるのでしょうか?

A 売店がなく、お土産等の販売はないのですが、博物館ニュースを無料で配布しており、お札や切手にまつわる情報を随時提供しております。

Q

さらに、印刷工場も東京・小田原・静岡・彦根の各工場では、見学ができるそうです!

Q お札ができるまでが見られるのですか?

A 工場見学では、紙を作る工程は公開していませんが、お札を印刷する現場は2階の見学廊下からガラス窓越しに見学できます。大きな機械でお札を印刷している様子が見られるので、雰囲気やインキの匂いなども感じられます。印刷工場の現場の撮影はできませんが、展示室は撮影できます。今は、国立印刷局のホームページでオンライン工場見学をご覧になれます。
団体ではなく、お一人で来られても、職員さんがついて解説して歩いてくれるそうです。参加は無料なのに、すごく贅沢ですね。
次にお札が作られる工程を教えてもらいました。

まず原材料を細かく解きほぐして、紙の元となる材料を作ります。紙の元となる材料を抄紙機と呼ばれる機械で抄いて、すかしの入ったお札の紙を作製します。その紙(1枚につきお札20枚分の印刷ができる大判用紙と呼ばれる紙)に印刷局で製造したインキを用いて印刷し、小切れと呼ばれる皆さんの手元にあるお札1枚の大きさに断裁して、日本銀行へ納入しています。

博物館や工場見学、ぜひ行ってみたい!オンラインもあるので遠い方にもおススメですね。

Q ところで、キャッシュレスの時代が来ていますが、お札のミライはどうなっていくのでしょうか?

A キャッシュレスは便利ですから、今後もみなさん使われていくと思います。とはいえ、デジタルは使う側にスマホが必要だったり、店側に専用端末が必要だったりしますよね。デジタル通貨は、大震災、台風等で停電等が発生し、インフラが機能不全に陥った時には、使用できない可能性があります。お札であれば、そういう時も使用できるので、すぐに通貨が全てデジタル化されるのではなく、お札のニーズもあると考えています。今後も皆さんが安心してお札を利用できるように、日々新しい偽造防止技術の開発に努力を重ねていくつもりです。

最後に参加されたメンバーさんがどんなことをSNSなどで発信したいと思ったか聞いてみました。

あやのさん

秘密組織に潜り込む意気込みで参加しましたが、なんでも質問できました!官報もこれから読んでみようかな、と思いました。お札のことや官報のことをSNSで発信したいです。

ななみさん

お札のデザイン、企画、管理・技術など興味深かったです。お金に向き合って投資していく中で、ここでしか聞けない貴重なお金の話が聞けて良かったです。
国立印刷局で話が聞けたということ自体レアな経験だったので、その話を発信したいです。

さやかさん

お札を見る目が変わりました。キャッシュレスになって、逆に価値があるなと感じました。ご祝儀やお年玉など、やっぱりお札でもらいたいものってあると思うので。 SNSでは今日学んだことをクイズみたいにして発信してみたいな、と思いました!


100メンサツと執事のおおとり丸

有田さん、西村さんからも今日の感想をいただきました。

西村さん

皆さんに興味持っていただいて良かったです。こういう仕事やこういう職種があると知ってもらいたいと思っていましたので、周囲の方などにも、紹介してもらえると嬉しいです。

有田さん

我々が今何をやっているか、ということを知っていただき、発信してもらえるとありがたいと思っていました。150年の歴史については、時間の関係でまだ一部しか話せていないですが、色々興味持っていただいてもらえたなら、話し足りない位なので、気軽にご質問いただければ嬉しいです。Webサイトにも情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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