見どころ解説

特別展示の見どころについて紹介しています。

平成30年度 第2回特別展
お札の色・切手の色~偽造を防ぐ技と美~

1. 印刷局の特製インキ

さまざまな特色が使われるお札
日本銀行券 E1万円(部分)



印刷局のインキ製造風景


お札に使われるインキと色
 お札は、どんな色で印刷されているのでしょうか。一見、重々しく地味な色に見えますが、じっくり眺めると、意外にカラフルなインキが使われていることが分かります。実は、お札は表に13色、裏に7色ほどのインキが使われているのです。印刷局は、お札の印刷だけでなく、インキも独自に開発・製造しており、それらはすべて固有の色(特色)となっています。
 お札に使われる色(特色)は、青・赤・黄・黒の4原色では再現できないよう、あえてくすんだ淡い色調の中間色になるよう調整されています。また、特色を刷り重ねることで、より複雑で微妙な変化をもつ色味を編み出していることから「色」は重要な偽造防止技術の一つとなっています。
 ここでは、お札に使われる実際のインキと、特色の一部をご紹介します。

切手に使われるインキと色
 印刷局が製造する切手もまた、特色を使っています。切手は別名「小さな芸術品」とも呼ばれますが、その所以がインキにあるといっても過言ではありません。
 小さな切手のデザインをより立体的に、鮮やかに、精緻に再現するのがインキです。その色味の調整はまさに職人技で、限られた原色から特色1000色以上を編み出し、切手デザイナーが指定する毎回異なるデザインに合わせて、色を調合するのです。また、その色をズレなく美しく印刷する技術も必要です。高い技術力と経験値が、切手を「芸術品」にまで押し上げているといえるのです。
 ここでは、今年発行された記念切手「日本の夜景シリーズ第5集」と、500円普通切手を取り上げ、実際に使われたインキと重ね刷り工程をご紹介します。これらの切手には、デザイン性や偽造防止、検知を目的としたパールインキと発光インキが使われており、こうした特殊インキを単独でご紹介するのは初めてのことです。



   

「日本の夜景シリーズ第5集(部分)とそのインキ


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2. 印刷局のインキ事始め


明治期のインキ色見本帳


明治初期のお札事情
 印刷局は、およそ150年にわたって日本のお札や切手の製造を担ってきました。インキ製造の歴史も同様に古く、明治5(1872)年に日本で初めて洋式インキを製造して以来、現在もインキの開発・製造を続けています。
 ここでは、印刷局のインキ製造にあたっての使命や、当初製造していたインキがどのようなものであったかがうかがえる資料をご紹介します。

印刷局のつくる色
 明治期の印刷局は、お札や切手以外の副業製品も手掛けていました。ここでは、明治10年代から20年代にかけて、印刷局が編み出した多彩な色をご紹介します。今回初公開となるインキ色見本帳『印刷肉色彩鑑』などに収められた約100色を色名とともに全色公開します。
 140年前のものとは思えない鮮やかなインキと、モダンなデザインをぜひ実際にご覧ください。



3. 色の逸品


13色を使った図とそのカラーマーク
『国華余芳』正倉院御物 見本校正刷り


 印刷局が明治13(1880)年に発行した『国華余芳(こっかよほう)』は、石版印刷で正倉院や伊勢神宮の文化財を再現し収めた図譜です。十数色の特色を使い、文化財の形、色、質感を忠実に再現したもので、当時最高峰の技術を使っています。
 ここでは、『国華余芳』の製本前の見本校正刷りから、実際にどの色をどの順番で刷り重ねていたかをご覧いただけます。
 このほか、お札や切手など歴代の印刷局製品の中から、インキや「色」にまつわるエピソードをもつ資料を選りすぐってご紹介します。

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4. 激動・大正期の特別な色

創立50年を迎えた大正10(1921)年当時の
大手町の印刷工場の様子 (復刻画)


 大正期は、印刷局にとって、またインキ製造事業にとって、激動の時代でした。第一次世界大戦の影響によって染料の輸入が止まり、特に赤系インキの製造に困窮したのを始め、印刷局が創立50年を迎え、これを華々しく祝った2年後に、関東大震災で製造工場が壊滅状態となってしまったのです。こうした緊急時にあって、印刷局がどのように苦境を乗り越えたのか、当時の関連資料とともにご紹介します。

関東大震災で被災した工場


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5. お札・切手のプロが選ぶ「逸品」

ふるさと切手
東京の四季の花・木Ⅱ
平成13(2001)年


 歴代の印刷局製品のなかから、インキや色にまつわる「逸品」を選ぶとすれば、どれでしょう?この質問に答えてくれたのが、日本郵便株式会社の切手デザイナー貝淵純子氏を始め、印刷局のインキ開発部門、インキ製造部門、切手印刷部門など、お札や切手に実際に携わるプロたちです。
 プロは、インキ・印刷のどこに注目し、価値を見出しているのか。プロならではの視点から選ばれた「逸品」を、特別にご紹介します。

   切手趣味週間 平成30(2018)年


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