見どころ解説(令和2年度_秋の特集展)

更新日:2024年2月8日

この展示は終了しました。ご来場ありがとうございました。

令和2年度 秋の特集展
富士山 お札・切手・旅券に描かれた日本の象徴
見どころ解説

1. お札・諸証券に描かれた富士

世界の多くのお札には、その国を代表する人物が「お札の顔」として描かれていますが、人物だけでなく、風景や建造物などもその国を表す重要なモチーフです。
日本のお札の裏面には、国を代表する歴史や文化、美しい自然などの図柄が採用されてきました。私たちが使っている千円札の裏には、富士山が描かれていますが、戦後から現代にいたるまで、いずれかの額面のお札には必ず富士山が描かれてきました。一方、国などが借り入れを目的に発行する債券などにおいても国の象徴として富士山の図柄が用いられています。
ここでは、明治初期から現代までの富士山を描いたお札とともに、普段なかなか目にすることのない債券やイギリスで発行された外国債、現在は使われていない印紙類など、貴重な資料もご紹介します。

●戦後初めて富士山が登場したお札

日本銀行券 B500円 裏 
昭和26(1951)年 

●債券に描かれた富士

割引短期国庫債券10億円(見本)

このページの先頭へ

2.旅券に描かれた富士


2020年 旅券 査証ページ

旅券は、自らの国籍や氏名、年齢などを海外で証明するために政府が発行するものです。その旅券にも、日本を象徴するために富士山が描かれています。 令和2(2020)年に発給が開始された新旅券には、富士山をメインモチーフとした日本を代表する浮世絵(葛飾北斎『冨嶽三十六景』)が採用されました。 旅券のデザインに芸術作品が採用されたのは初めてのことで、『冨嶽三十六景』の中からページごとに異なる絵柄が用いられ、桜文様のすかしがすき込まれるなど、お札と同様に高度な偽造防止技術が用いられています。 旧旅券の査証ページは、シンプルな数字の羅列によるものでしたが、新旅券では、芸術作品を用いることにより複雑性が増し、偽造防止効果も高くなりました。ここでは、デザインが新しくなった新旅券の査証ページを中心にご覧いただきます。

このページの先頭へ

3.切手に描かれた富士

富士山を描いた切手は、大正期から現代までに約160種を超える数が発行されており、多種多様なデザインのものがあります。ここでは、図柄や発行目的などにより3つに分類し、さまざまな富士山の切手をご紹介します。

1. 日本の原風景・富士
富士山は日本の名峰であり、私たち日本人の心の原風景として、数多くの切手に描かれてきました。 昭和初期に発行された国立公園切手は、原画となった写真を印刷で再現するために初めてグラビア印刷を採用した切手で、さまざまな富士山の姿を階調豊かに表しています。凸版彫刻による切手が主流だった時代に、写真表現による富士山が登場した画期的な切手です。 また、平成25(2013)年に世界遺産として登録された際には記念切手が発行され、日本の美しい自然や世界に誇る文化遺産としての富士山を国内外にアピールしました。 一方、静岡県や山梨県の風物を題材としたふるさと切手では、富士山のお膝元ならではの風景が地元の産物などとともに表現され、地域振興にも役立てられています。 ここでは、四季折々のさまざまな表情を描いた富士山の切手をお楽しみください。

このページの先頭へ

2.日本と世界をつなぐ富士
普通切手は、期間を限らずに発行されているもので、私たちが日常的に使う身近な切手です。大正から昭和初期にかけて発行された普通切手の中で外国郵便用としても使われたものには、日本の象徴として富士山を図案化したものがあります。 大正期に発行された富士鹿切手は、日本で初めて富士山が登場した切手で、日本を表す菊の紋章とともに富士山が描かれています。以降、富士山の図案を用いた普通切手は、戦後の新昭和切手まで使われました。 一方、東京オリンピックや日本万国博覧会といった国際的なイベントで発行された切手、世界各国との修好を記念する切手などにおいても、富士山が用いられており、日本の象徴として世界でも広く認識されていることがわかります。 ここでは、富士山を描いた歴代の普通切手、外国切手に描かれためずらしい富士山などをご紹介します。日本と世界をつなぐモチーフとして描かれた富士山にご注目ください。


日本・スイス国交樹立150周年(部分)平成26(2014)年

このページの先頭へ

3.日本の文化を伝える富士

古来より多くの絵画に描かれてきた富士山ですが、中でも葛飾北斎の浮世絵『冨嶽三十六景』のうち「神奈川沖浪裏」「山下白雨」「凱風快晴」は、日本だけでなく海外にも広く知られており、これらは特に、国際的な催しを記念する切手において日本の象徴として多用されています。
昭和33(1958)年に発行開始された国際文通週間切手は、北斎や広重の浮世絵などを用いて人気を博し、現在も続くシリーズですが、富士山を題材とした切手も多数含まれており、海外の人々に向けて日本をアピールするものとなっています。また、浮世絵以外にも、富士山の名画を数多く残した横山大観の『霊峰飛翔』なども国際イベントを記念する切手として採用されています。このように、国内外の多くの人々の目に触れる切手において富士山の絵画を図案に用いることで、日本という国そのものを表すとともに、その文化や芸術性を伝えるものとなっています。
一方、これらの切手には、偽造防止効果を伴うさまざまな技術が使われています。近年では、普通切手の最高額面として発行された1000円切手に田能村竹田の『富士図』が採用されましたが、力強い彫刻線と繊細な色調の表現に優れたグラビア印刷が融合し、偽造防止効果の高いグラビア凹版の技術によって、名画が再現されています。
ここでは、高度な技術によって切手に再現された富士山の名画の数々をお楽しみください。併せて、万国博覧会の開催時に発行された外国切手をご紹介します。なかには、同じ浮世絵作品を日本と他国で取り上げた切手もあります。さまざまな国によって表現された日本の名画もぜひご覧ください。

本文ここまで
サブナビゲーションここから

サブナビゲーションここまで