見どころ解説(冬の特集展)

更新日:2024年1月30日

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特別展示の見どころについて紹介しています。

お札の模様には、券面を額縁状に囲む枠模様、細かい連続模様などを施す地模様、緻密な線で構成された彩紋(幾何学模様)などがあります。本展示では、これらの模様の移り変わりを時代ごとに紹介してゆきます。 まず、最初のコーナーでは、模様の始まりについて紹介します。日本のお札に模様が用いられるようになったのは江戸時代の藩札からで、縁起の良い吉祥柄などが描かれていましたが、この中に枠模様や地模様はまだありませんでした。これらの模様は、明治時代に欧米の印刷会社が製造したお札によって西洋の新しい技術が導入されたことに始まります。ドイツ製のお札では地模様が、アメリカ製のお札では彩紋や枠模様が後のお札に引き継がれました。ここでは、これらのお札をご覧いただくとともに、参考資料として、明治時代以降のお札に見られる藩札の模様についても紹介します。貨幣の象徴として用いられた分銅のモチーフなど、お札と藩札に共通するユニークな模様にもご注目ください。

(左から)
大蔵省兌換証券 金5円 明治4(1871)年
新紙幣 金10円 明治5(1872)年
国立銀行紙幣(旧券)2円 裏 明治6(1873)年

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明治中期から大正期にかけてのお札では、額縁状の枠模様が多く用いられ、その中には肖像をゆかりとしたモチーフ、唐草を主体としたものなどがあります。また、地模様には緻密な連続模様や風景を主体としたものを用いるなど、多様なデザインが見られることが特徴です。
枠模様について特筆すべきは、当時発達した写真製版による偽造券が多発しため、重厚な枠模様をなくし、淡い色を刷り重ねた地模様を用いるなど、新しい技術とデザインを導入したお札が発行されましたが、当時の人々には受け入れられなかったことなどにより、再び重厚な枠模様が用いられるようになったことです。一方、地模様には偽造を防ぐため、より複雑な模様が重ね刷りされるようになりました。
ここでは、こうした移り変わりをご覧いただくとともに、新しいデザインを採用した乙5円券のモデルとなったドイツのお札も紹介します。

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●唐草を用いた枠模様
日本銀行兌換銀券 改造1円 明治22(1889)年

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●様式の変更へ
日本銀行兌換券 甲5円 明治32(1899)年

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●新しい様式のお札
日本銀子兌換券 乙5円 明治43(1910)年

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昭和5年に聖徳太子の肖像を初めて採用したお札が発行され、肖像と券面全体の図柄や模様との間に時代的な関連性を持たせるとの方針のもと、聖徳太子とゆかりのある法隆寺の宝物などを元とする古来の文様がお札に用いられるようになりました。以降、戦争中にはこれらの模様が流用されることもあり、昭和20年代後半から昭和30年代にかけては、肖像と関わりなくこれらの模様が用いられています。
ここでは、古来の文様に見られるモチーフが枠模様や地模様の中でどのように用いられているのか、また、複数のお札に共通のモチーフが展開する事例などについて取り上げます。昭和期のお札を彩ってきた華やかで重厚感のある模様をぜひご覧ください。

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●古来の文様を元にした模様のお札
日本銀行兌換券 乙100円
昭和5(1930)年

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●肖像と関わりなく古来の文様を用いたお札
日本銀行券 B500円
昭和26(1951)年

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昭和30年代に発行されたシリーズのお札の模様には、最新の印刷技術が採用されたことでその表現は大きく変化しました。複雑に色が重なり合う枠模様、白く細い画線を境に異なる色が接したカラフルな地模様など、それまでのお札には見られなかった色や形状がお札の模様に施されるようになります。昭和30年代のお札には、これらと古来の文様を組み合わせた模様も見られましたが、昭和50年代には、文化人が新たに採用されたことを契機に、肖像と調和のとれた模様がデザインされるようになります。
ここでは、昭和30年代に新しい技術と表現を模様に採り入れたお札から、昭和50年代を経て、現代までのお札をご覧いただきます。一見すると大きく変わらないようにも思われますが、現在のお札には、潜像模様やホログラムといった特殊な技術が採用されており、その一方で、唐草を用いた枠模様や彩紋を用いた地模様といった今も変わらずに用いられ続けているものがあります。時代を追ってお札の模様を見てゆく中で、そうした一面にもご着目ください。

●昭和30年代

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日本銀行券 C10000円 昭和33(1958)年

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日本銀行券 C1000円 昭和38(1963)年

●昭和50年代

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日本銀行券 D10000円 昭和59(1984)年

●現在

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日本銀行券 E5000円 平成16(2004)年

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