グラビア切手と印刷局

更新日:2024年2月8日

グラビア切手とは、グラビア印刷という印刷方法で製造された切手のことです。
印刷局では、さまざまな色調の図柄や写真を再現するために、グラビア印刷の技術を使っています。
日本の切手は、印刷局以外に、国内外の印刷会社でも製造されていますが、そのどれもがグラビア印刷以外の方法によるもので、現在では、オフセットという一般的な印刷方法による切手が世界的に主流となっています。しかしながら、印刷局では今もグラビア印刷を主とし、切手を製造しています。

⇒ 切手におけるグラビア印刷とオフセット印刷の違いについては、こちらをご覧ください。

●印刷局製造のグラビア切手


普通切手 63円 令和元(2019)年

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普通切手 84円 令和元(2019)年

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切手趣味週間 84円 令和2(2020)年

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グラビア印刷による切手は、昭和11(1936)年に初めて発行されました。切手の原画として初めて風景写真を用いることとなり、写真の再現性の良いグラビア印刷が初めて採用されたものです。
当時の切手は、彫刻された原版によって図柄を表現したものが主であったため、階調豊かに富士山の姿を再現したグラビア印刷は、戦前においては画期的な技術だったのです。

●最初のグラビア切手


第1次国立公園切手シリーズ第1集 6銭 「富士箱根国立公園」 昭和11(1936)年


部分拡大 インキの濃淡によって階調が表現されている。


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●同時期の切手


年賀切手 昭和11年用 1銭5厘 力強い彫刻線によって図柄が構成されている。 昭和10(1935)年

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3. 戦後のグラビア切手 

戦前のグラビア切手は単色(1色のみ)の印刷によるものでしたが、現在では特殊切手(記念切手など)の場合、5~6色で印刷されており、最高で8色使われることもあります。
初めて多色刷り(4色)のグラビア切手が発行されたのは昭和30(1955)年のことで、ドイツ製の多色グラビア印刷機が導入されたことを契機としています。同時期には、浮世絵作品を描いた大型切手において本格的に採用されて国内外で好評を博し、切手は多色グラビアの時代へと向かいます。
現在のグラビア切手は、色の深みや鮮やかさが増し、緻密な図柄が細部まで再現されており、重厚感のある豊かな表現へと進化していることがわかります。


●最初の多色グラビア切手(4色) 第15回国際商業会議所総会記念 10円 昭和30(1955)年

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●最初の大型グラビア切手(4色) 切手趣味週間 10円 昭和30(1955)年

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天皇陛下(現上皇陛下)のご即位30年を記念して発行された切手には、8色を用いたグラビア印刷(通常は5~6色)によって高貴な図柄が表現されています。


部分拡大


天皇陛下御即位30年記念 82円 平成31(2019)年


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陛下のご幼少時の着物に描かれた吉祥文様をモチーフとした切手。
左の切手には、長寿の象徴として鶴と亀が描かれており、亀(蓑亀・みのがめ)は、
尾のように長く伸びた部分の一本一本まで 金色のインキで再現されている。


グラビア8色のカラーマーク 印刷に用いられたインキの色を示している。

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