階調凹版(かいちょうおうはん)

更新日:2024年1月31日

・昭和のグラビア切手とさまざまな技術

階調凹版(かいちょうおうはん)

グラビア印刷と凹版印刷*の長所を兼ね備えた版式で、一度の印刷で写真のようなグラデーションと力強い画線を表現できるものです。印刷局の創立百年を記念して発行された切手(図1)には、独自に開発された「階調凹版」の技術が初めて採用されました。この特性をいかし、原画である『龍虎図』(橋本雅邦)の迫力ある描写が再現されています。また、この切手は、当時の印刷物としては最高水準の出来栄えであったともいわれており、印刷局の高度な技術を示す切手の一つです。
階調凹版は画期的な印刷方式でしたが、当時の印刷機の機構上の制約から色数が限られたため、グラビア印刷に階調凹版を重ねることで、より鮮やかに色彩を再現した切手(図2)も製造されました。

*凹版印刷…彫刻された画線の凹みにインキを詰めて印刷するもの。細部まで表現でき重厚感のある仕上がりになるが、彫刻作業に手間がかかり熟練した技術を要する。

●階調凹版を初めて採用した切手(図1)
政府印刷事業百年記念(大蔵省印刷局創立百年)15円
昭和46(1971)年
凹版彫刻された画線とグラビアのセルを一つの版面に製版することで、
豊かな階調と重厚感を表現することができる。

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(図2)
高松塚古墳保存基金「西壁女子群像」
50+10円 昭和48(1973)年

グラビア印刷に階調凹版3色を重ねることで、
壁画に描かれた女性像を色鮮やかに再現している。
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船シリーズ第5集「畿内丸」50円
昭和46(1971)年

雲や煙の調子を表現するために階調凹版を用いて
いる。
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